非常時における国の指示権拡大に関する改正地方自治法の限定的な運用を 求める意見書

国の指示権拡大には基本的に反対なので、先月の議会にて、意見書提出を試みました。

本来的には、非常時という抽象的な根拠で国の指揮権を拡大することは非常に危険であり、法改正自体に反対ですが、法案可決してしまいましたので、一地方議員として、運用上の制限を求める意見書提出を訴えましたが、賛成少数にて、否決されました。

以下に、意見書の文章を転記します。
地方自治を重んじる立場としては、必ず必要な要件だと思います。

 

非常時における国の指示権拡大に関する改正地方自治法の限定的な運用を

求める意見書

 自治体が行う事務に対し、国が自治体に具体的な指示を行う権限については、感染症法や災害対策基本法などの個別の法律で規定されています。しかし、第213回国会において可決された改正地方自治法では、個別の法律に規定がなくても、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」が生じた場合に、国が自治体に対して必要な指示を行うことができるとする特例が盛り込まれました。

 この特例においては、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」という基準も抽象的であり、指示権の内容も不明確で、「事態が発生し、又は発生するおそれがある」などの判断は各大臣に一任されています。事前の自治体からの意見聴取も努力義務にとどまり、国会の関与も事後報告にとどまるため、閣議決定のみで発動可能になることから、時の内閣の恣意的な判断で自治体に指示を行う余地を残すものです。

刻々と変化する緊急事態においては、国の指示を待つより、現場での臨機応変な対応が求められますし、国の指示が地域の実情にそぐわないことも十分考えられます。

非常時における国の指示権拡大をきっかけとした、政府の統制力拡大に反対する観点から、地方自治の自主性・自律性が守られるよう、下記の事項を強く求めます。

1 地方自治法第245条の3、「(関与の基本原則)国は、普通地方公共団体が、その事務の処理に関し、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとする場合には、その目的を達成するために必要な最小限度のものとするとともに、普通地方公共団体の自主性及び自立性に配慮しなければならない。」との定めに則り、本指示権の運用に当たっては、事前の意見聴取にて自治体からの「要請」がない限り、発動しないこと。

2 地方自治法の本旨を尊重し、今回の法改正に上乗せするなど、今後、更なる政府の統制力拡大につながるような地方自治法改正を控えること。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。

 

議会提言の動画もYoutubeにて公開しました。